机上と現場

 先日、大阪音楽大学にて行われた日本音楽学会関西支部の例会に行って来ました。今回どんな論文発表があったかと申しますと、「ジャン=フィリップ・ラモーとドメニコ・スカルラッティの鍵盤楽器奏法比較ー手の交差を考察して」、「早坂文雄の《ユーカラ》における音楽語法 ーメシアンとの関連を中心にー」、「中田喜直の初期・中期の歌曲ー歌曲集《魚とオレンジ》を中心に」、「イタリア語を原詞とするある曲の原詞歌唱と和訳歌唱に対する日本語を母語とする被験者の印象評価」の4つ。(発表者名略)
 久々の出席でしたが、以前より増して自分の視点が完全に「奏者」視点であることを認識する。今回チェンバリストの専門分野についての発表があったこともあり、非常に18世紀以前の音楽について言及されると、私のその評価はかなりシビアです。
 個々の論に対しての私の言及はさておき、今回感じたことは、やはり机上と現場の連携の必要性であろうか・・・以前より必要性は感じてはいるのだけれども。奏者としては、机上だけでの言及はもどかしい部分があります。逆に、研究者はその専門楽曲において奏者が紡ぐ音楽にもどかしさを感じているのであろうとも思います。なかなか個人的な繋がりがないと、その連携を望んでも難しい面も多いですが、少なくとも音楽現場の側には様々な方面との連携が必要な気が致します。