こちらはweb"Klavi"の1ページです。チェンバロ奏者の中田聖子が音楽をテーマに文章を綴っています。
「Lesson考 その1 : タイと付点、細かい音符」
Lesson考 ... 私が楽器や音楽の指導をしていて思うことや考えることを綴ってみようと思います。大したことは綴れませんが、チェンバロを学ぶ方でない方にも共通するであろうこと、そして、私も若い頃に気をつけたかったな、とか、今でも意識して気をつけていることなどを書き留めてみようと思います。
レッスンを行っていて、何人目かになると「これ今日何回言ってるんだろう」と思うことがある。そして「これ、いつも言ってるよね...」と思うことがある。それは、多くの生徒さんに言うべきことだからなのだと思う。それは概して「タイと付点」。「タイの係留音を感じましょう」「付点音符の付点を感じましょう」ということ。
因みに、こういうことは私の中ではレッスン内容の域には入らない。出来れば、これを言うだけでレッスン時間を終わらせたくないので、出来るだけ生徒さん御自身で、お家での練習の際に改善して来て頂きたい、と思っている。
むろん、気付かないことだってあると思う。それについて指摘するのはレッスンだけれども、あそこもここも、同じ曲で、何回目かのレッスンでこれを言わなければならない、という場合は、レッスン内容の域には入らないと思っている。
楽器の先生をしている方は、きっとそう皆さん思ってらっしゃると思う。「レッスン内容の域には入らない」時間が少なくなれば、クォリティーの高いレッスンが受けられるのではないかしら...と思う。
タイや付点の意識を思っている以上に強く持たないと、思っている以上に音の長さが短くなってしまうもののようである。
私も学生時代や修行時代は指摘されたし、今でも意識が甘くなっていることに気付く瞬間がある。「意識すること」「思っている以上に、ということに気付くこと」それだけで改善されることは沢山あると思う。
「思っている以上に」ということで、最近多くの方が勘違いされている傾向にあるなぁと思うことは、細かい音符の意識。音符が細かくなると、とにかく早く指を動かさねば! と思われる方が多い(このことは私自身にはとても意外なことだったのだが)。
結果として、
記載音符よりも速くなる→それで弾けるのなら良いが大概滑る→それによって更に全体が速くなる→全体が弾けなくなる
という負のスパイラルに陥る。細かい音符程、丁寧に捉える必要がある。
50代、60代、70代...の先生方に比べると、私はまだ若造指導者だが、初学者の方から学生さんまで、多くの方に共通して述べていること。
...本記事が楽器を学ぶ方のお目にとまりましたら是非参考にして頂ければ... と思います。
・2012.02.22「Lesson考 その1 : Tie and dot」- 指導者視点でのコラム -
・2009.10.30「奏者観点で、日本音楽学会全国大会に行って来ました」
・2007. 02. 04「G.フレスコバルディの流れは、L.van ベートーヴェンヘ」
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Program Note
・2009.06.06「ドイツ三大巨匠のオーボエとチェンバロ」(at池田)にて配布
『本日のコンサートをより楽しんで頂く為に...』
・2009.01.15 中田聖子チェンバロ・リサイタルVI「J.S.バッハとフランス」
・2007.08.04 Barocco Impression Plus!