Othello

 狂言とオペラのコラボによる「オセロ」を観に大阪能楽会館へ連れて行って頂いた。簡単に言えば配役の女性役にオペラ歌手が起用され、美しい歌声を聴かせてくれるというコラボの形だった。狂言については初観劇であったので 詳しくないので何も言及は出来ません ^_^; ただオペラとのコラボであるか否かというだけでなく、狂言で悲劇をとりあげるということ自体が物凄く斬新だと思う。
 シェイクスピアの「オセロ」をアレンジされた台本で、オセロだけそのまま"オセロ"の名の役で、他の役柄は、デズデモーナが"鮎姫"等、日本名の登場人物としてアレンジされていた。舞台も堺と琉球。演出も筋が大変分かりやすく(上演するものは本来そうあるべきものだと思いますが...ゴニョゴニョ)、正直、同じ日本語を使用して上演されるものであっても「日本語オペラの『オセロ』」より「日本語での上演の良さ」が大変伝わってくるものでした。これは狂言の技・狂言の視点からの演出によるものだと感じました(きっと狂言は日本語の良さに基づく芸術なのだと思いますが)。
 悲劇なので最後はやはり涙してしまうような筋ですが、最後のカーテンコールで喜劇の要素を出しつつおさめて奇麗に公演を閉じるるのが非常に面白い。アドリブなのでしょうけれども、最後まで観客を楽しませるという点はクラシックの世界も見習わねばならない(むろん笑わせろという意味ではない)。
 オペラとのコラボというよりも、やっぱり狂言ベースだなぁと感じましたが、オペラの華やかな部分を上手くのせて貰えた作品として上演されたような感もしました。
 なお、以上の感想は、西洋音楽側の視点でしか見ることが出来ていないことをお断りしておきます。西洋音楽側に生きているので 仕方がない視点だと思ってくださるとありがたいです(苦笑)。しかし私自身はオペラの部分を観に行った訳ではなく、狂言の方を観に行ったのですけれども。非常に興味深く、古典作品も生で観劇してみたい...と思えるものでした。

 それにしても... 一つの会場だけみて言い切れないだろうけれども、能楽堂ってあまり響かない創りなのですね。檜の木で反響があるのかな? と思っていましたが残響がない。良い空間だなぁ...。(残響があるコンサート・ホールでは、チェンバロの芯が客席で聴きにくいのではないか...と最近思っています)