チェンバリスト中田聖子のオフィシャル・ウェブログ
 

2013年6月アーカイブ

秋篠寺公演、御礼!

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 昨年に引き続き、今年も奈良の音楽祭「ムジークフェストなら2013'」に出演させて頂き、秋篠寺での公演を6/19に行いました。今年はたっぷりJ.S.バッハのチェンバロ作品をお聴き頂こうと「J.S.バッハのチェンバロ音楽」のタイトルで(そのままですが・笑)オールJ.S.バッハ・プログラムを組ませて頂きました。演目は「トッカータニ長調 BWV912」「イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971」「A.マルチェロの協奏曲に基づくチェンバロ独奏の為の協奏曲 ニ短調 BWV974」「半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903」「フランス組曲 第3番 ロ短調 BWV814」の5曲。J.S.バッハのチェンバロ作品は大きく3つに分類出来ると思っていて、それが「対位法の作品」「鍵盤独奏協奏曲」「舞曲組曲」の3つなのですが、3つ全てを御紹介出来るようなプログラムとして組んでみました。
 (当日配布したプログラムノートはMusicology Blogに掲載していますので、ご興味持ってくださった方は是非御覧ください)

 早くに梅雨入りしたものの「空梅雨」なんて言われていましたが、丁度、公演前日頃から関西は本格的に降り出しまして(正しくは台風及び熱帯低気圧の影響でしたが)、当日も大雨...。むろん大雨でしたので、必然的に湿度も高い状態とはなりましたが、比較的天候には左右されないような屋内が会場でしたので随分助かりました。大雨ながらも、演奏中も比較的調律も安定していたと思います(←この辺りが天候に左右されるので、いつも天候が心配です。いつか天気図等から自分で予報していけるようになりたい...と思っています。「大きな野望」)
 2枚目の写真はリハの時のものですが、奥に写っていますように、緑が綺麗に映えた秋篠寺のお庭をバックに演奏させて頂きました。大変風情があり本当に素敵な所です。境内で沢山撮影したかったのですが、実は雨の中ウロつくと私は溶けてしまう(?)ので(訳:すぐ風邪をひきます)、撮影は断念...心残りですが、改めて木々と苔の緑の美しい境内を撮りに伺いたいと思っています。
 そんな大雨にも関わらず、沢山の方に御来場頂きました。申し込み受付直後に満席となってしまったと聞いていましたが、朝から結構な降り方をしていたので、さすがに閑古鳥が啼くかもしれない、と思っていたのですが...。
 雨の中、足元の悪い中、お越しくださった皆様、ありがとうございました。
 奈良生まれなので、やはり、奈良の音楽祭で演奏出来るのは、とてもとても嬉しいことです。
 雨の中、スタッフの皆様も入り口の外で動いてくださって、ありがとうございました。そして、ずぶ濡れになりながら、チェンバロを運搬してくださったSさんとKさんにも大感謝です!

 終演後、お客様からあれこれ楽器について御質問を頂き、楽器についてのお話も少しさせて頂きました。説明中の様子が、5枚目の写真です。
 楽器の近くで、撥音部分のジャックやジャックレールを御覧頂きました。チェンバロについて「弦を撥いて音を出す鍵盤楽器です」とお話しますが、「一体何処で弦をはじいているんですか?」と必ずいつも言われてしまいます ^_^; こればかりは撥音部分を近くで見て頂かないことには、私の説明力では到底伝えられない...でも、御覧になれば、皆さん「あぁ!」「なるほどー」とご納得(^^)説明中のこの写真は「皆さん納得中!」の写真でもあります。
 
 そして、もう1点、二段鍵盤の楽器を使用している際に必ず質問されることが、 「広音域が二段の鍵盤に分けて配置されているのですか?」ということ。
「いえ、上と下、同じ音域です」ということを説明しているのが、最後の写真です。「この上鍵盤のミ と 下鍵盤のミ、全く同じ高さのミです」という図。
 
 さて、7月ももうすぐですが、7/6と7/7は名古屋に遠征します。「ルドゥーテのバラ図譜」名古屋展でのミュージアムコンサート。松坂屋名古屋店でのマツザカヤホールにて開催、両日共14:00-14:30と16:00-16:30の2ステージです。東海地区でこれが初の演奏となります。愛知県の皆様、是非お立寄りください!!
 
 そして7/20はバロック・ヴァイオリンの河内知子さんとのコンサートシリーズ「記憶の彼方からの響き」第3回公演。今回はヴィオラ・ダ・ガンバの中西歩さんと三人でブクステフーデやクリーガーのトリオ・ソナタを演奏します。チェンバロ・ソロではJ.S.バッハの「半音階的幻想曲とフーガ」が演目です。伊丹アイフォニックホール小ホールにて17:30開演です(詳しくはこちらを御覧ください)。関西の皆様、お時間ございましたら是非いらしてください!!
 
 これからも皆様どうぞ宜しくお願い致します!!
 
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 前々回記事の続きとして綴らせて頂こうと思いますが、まずは左の写真、大阪川口にある市内最古の聖堂 川口基督教会です。ここが5/9のヴィヴァルディ祭り A.ヴィヴァルディ室内協奏曲全曲演奏会の会場でした。
 レトロ建築(近代建築)が好きな私、こんなところで演奏させて頂けるとは、何とも嬉しい限り。ヴィヴァルディ祭りでは、3日に渡る公演各グループの公開リハーサルと共に講演会なども開催されましたが、大阪歴史博物館の学芸員 酒井一光さんの大阪の近代建築についての講演があり、しっかり拝聴にまいりました。川口教会は他の当時のイギリス式を取り入れた近代建築と異なる屋根の骨組みであることなど、興味深いお話が沢山ありました。またレトロ建築を見て歩きたい病が悪化しております。酒井さんの講演は別グループの公開リハ日でしたが、私たちのグループの日には、音楽学者の山田高誌さんがA.ヴィヴァルディについての講演会が開催されました。コンサートではなかなか触れられないヴィヴァルディの音楽活動の背景、室内協奏曲の作品成立の背景となったピエタについてなど、詳しくお話してくださいました。

 2枚目の写真は、川口教会でのコンサート後、女性陣で記念撮影したものです。
左からバロック・ヴァイオリンの稲富さん、私、そして同ヴァイオリンの河内さんです(立ち位置もう少し考えれば良かったなぁー)。稲富さんとは今回が初共演でした。河内さんとは、福岡でのリサイタルにゲスト出演して頂いたり、大阪での「記憶の彼方からの響き」シリーズのコンサートを行って来ています。同シリーズ第3回を7/20に伊丹アイフォニックホールで行いますので、お近くの皆様是非いらしてくださいね!!
 川口教会の聖堂はWar IIの戦火(焼夷弾が落ちたそうです)、そして阪神淡路大震災の被害(塔倒壊)を受け乍らも、修復を繰返しながら現在に至ります。芸術趣味的近代建築でも素敵だと思いますが、煉瓦造りだからでしょうか、とても響きの良い聖堂でした。余談ですが、建設当時の煉瓦は大阪泉州製だそうです。講演会で聞いて知りましたが、大阪の近代建築には大阪製の煉瓦が多く使われているそうです。他の場所で作られたものを大阪に運んだものだとばかり思っていましたので、それにはややびっくり致しました。

 そして、5/25にはリコーダーの井上佳代さんと共にオールJ.S.バッハプログラムでのコンサート「J.S.バッハへの憧憬」をアンリュウリコーダーギャラリータケヤマホールにて開催致しました。井上佳代さんとのデュオでのコンサートは、前回が...おっと、直前のルドゥーテ展のコンサートでもこのデュオでオトテールの組曲を演奏しましたが、フル・コンサートとしては前回が2010年の3/13開催の「ヘンデルの憧憬」。この時の終演後、お客様から「次回はJ.S.バッハを演奏して欲しい」との声を頂き、考えること2年少々。何せリコーダー1本とチェンバロでの編成の作品が無いのです。この編成でバッハの作品が演奏されない、ということはむろん無く、よくフルートとオブリガートチェンバロの為のソナタは演奏されていますが、どういう形で演奏するかあれこれ考えるのに時間を要しました。そして、楽譜を準備して...(1曲は手書きもして...)今回の公演を開催する運びとなりました。(どういう形で何を演奏したか、ご興味有る方はプログラムノートとして書いた文章があるので御覧ください)

 この公演は早々に完売してしまい、当日までお問い合わせを多数頂いていたのですが、御予約が間に合わなかった皆様、申し訳ございませんでした。次回公演に向けて準備を始めていますので、次回をどうか楽しみにしていてくださいね!!
 4月5月のコンサートにいらしてくださった皆様、ありがとうございました!!
 そして6月、7月もコンサートが続きます。6/19は秋篠寺にて「J.S.バッハのチェンバロ音楽」のタイトルでオール・バッハ・プログラムを演奏しますが、こちらは既に満席となり、早々に申し込みを締め切ったそうです。
 7/6-7は名古屋にまいります! ルドゥーテ名古屋展at松坂屋ホール。初名古屋演奏です。名古屋の皆さま、どうぞ宜しくお願い致します。勿論ルドゥーテ仕様のチェンバロ登場です!
 そして先にもお話しましたが、7/20は「記憶の彼方からの響き」第3回公演、バロック・ヴァイオリンの河内知子さんと、今回はヴィオラ・ダ・ガンバの中西歩さんにも加わって頂いて、J.S.バッハ、D.ブクステフーデ、G.P.テレマンのドイツの3人の作曲家の音楽を演奏致します。伊丹アイフォニックホールにて17:30より。(詳しくはこちら)  又、今年のリサイタルも決定致しました! 12/21(土)アンリュウリコーダーギャラリータケヤマホールにて。(詳細は近日お知らせ致します)
 これからも色々な演奏の形でバロック音楽をお届けしていきますので、是非コンサートにまた皆様いらしてくださいね!!

J.S.Bach, Handschrift

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 J.S.バッハのガスパリーニの写譜が見つかったというニュースはBlogの更新意欲を刺激してくれる(こら)。あれこれニュースを見て、発見楽譜の写真画像を見てみて「そうかも そうかも」と思ふ(むろん自筆譜判定の確固たる能力は持ち合わせていない)。

 彼の音楽を演奏する奏者となってから、未発見の楽譜が見つかったことはこれまでにもありましたが、F.ガスパリーニの写譜をしていたことが何だか妙に気になっています。恐らく彼は他者の写譜を数えきれない程していただろうし、機械による複写技術がなかった当時、写譜は職業音楽家にとってごくごく当たり前の日常作業だったのだろうと思います。

 余談ですが、必要に迫られて、今年は先月迄にパート譜しかないファクシミリを書き写してスコアに書き直した曲が数曲(要するに写譜作業である)、そして、編成を変えて演奏するための移調譜の手書き作業が続いていました(これも実質写譜作業である)。「何が」とは明確に言葉で言うだけの文章力を持ち合わせていないのですが、手書きで写譜をする行為は得るもの多し。作業にとりかかる前に原譜を当然読み込んでいますし、作業中も同時進行で公演準備をしていますので(要するに私のこの作業は本番用の楽譜を書く、という作業なのである)、作業が完了した時にはむろん初見ではありませんが、この作業をするにあたっての「読み込み」が幸いするのか、「得るもの多し」の証拠に練習時間は大変少なくて済みます。又、実際の写譜作業中には、何度も弾き込みをした際の「気付き」の何倍もの「気付き」の瞬間があります。これにはいつも面白いものだなぁと思います。疲れる作業ですが、楽しい作業でもあります。この話をすると、「そんな面倒なことしないで浄書ソフトで清書すれば良いではないか」と必ず多くの方から言われるのですが、自分が使う楽譜を書き直す際は、必ず手書きするようにしています。LilyPondやFinale(はもう長らく使っていないが)での入力では、私の場合あまり気付きの瞬間に遭遇しないからです。まぁ、単に頑固者なだけでもありますが。

 余談が長くなりましたが、凡人の私でもそう感じるくらいですから、彼らにとって写譜は本当に重要な意味があったのだろうと思います。
 真っ先にそれが頭をよぎりましたので、ニュース見出しでヴァイマールの頃迄の写譜かしら...と思えば、1740年代の筆とのことなので少々驚いてしまいました。「バッハ先生、そんなことしておられるから、目を悪くするんですよ」と言いたくなりますが(卒中だけが目を悪くした原因だとは思っていませんので)、職業音楽家としては当然の作業だったのだろうと思います。
 ガスパリーニの音楽は、演奏する機会がこれ迄にありませんでしたので詳しくはありませんが、結構好きで聴くことは多いです。写譜していた事実は、奏者として何だか納得いくなぁと思います(言葉に出来るような根拠はないが)。プロテスタントがどうの...というお話も出ていますが、ルター派の教育を受けたらしいからおかしなことでもないのではないか、とも感じています(当時の宗教事情については明るくないですが)。話題にした割には感覚的な話ばかりで恐縮ですが。
 一番気になるのは、彼のこの写譜が残存出来た経緯かしら...。彼の新発見の作品よりも妙に気になっているのには、こういう部分を知りたい、とも思うからかもしれません。作曲家の周辺の人々の筆写譜によって残存しているおかげで演奏出来る作品も多いので、奏者にとっては重要視したい部分です。
 演奏にあたって音楽作品と向き合えば向き合う程、作曲家の作品が残存していることへの感謝の気持ちが生じて来るのが不思議です。

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