2009年7月アーカイブ

7月19日、Barocco Impression Plus! Vol.3 無事に公演を終えることが出来ました。
お越しいただきました皆様、本当にありがとうございます。

そして、ドルチェ楽器のIさん他スタッフの皆さん、楽器のお世話をしてくださったオワゾリールハウスの調律師Hさん、BIP!の裏方サポートをしてくださったKさん&Sくん、そして記録を撮ってくださったsatさん、お世話になり、本当にありがとうございました m(__)m (この場を借りて御礼を申し上げます)

お昼は晴れていたのですが、夜、終演後が凄い雨に見舞われましたが... (大雨警報も出ていたようですが...) 夜公演にいらしてくださった皆様が帰途につかれる際に、大雨に遭われたのではないかと心配しております。

BIP! Vol.4は、また2年後の2011年に開催の予定です。
私たちは、再びBIP!サウンドを探す旅に出掛けます。
なーんと、公演の次の日である今日も、BIP!は音出しをしていました(笑)

BIP! Vol.4開催までに、何処かに出没するかもしれません。
ここのweblogは、今迄通り更新を続けていきますし、情報も発信していきますので、
またこのBIP!のページにもお立ち寄りください。

本当にありがとうございました m(__)m


↓ お客様が撮ってくださったBIP!ショット。
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= ろくさくひんめ =

「BIP! Vol.3プレ週間号」最終号です。プログラム6作品目、バッハの管弦楽組曲1番について、チェンバロの中田聖子が語ります。


J.S.バッハ「管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV.1066」

 管弦楽組曲...その名の通り管弦楽による舞曲組曲として書かれたもので、編成は2本のオーボエとファゴット、弦楽器群と通奏低音による作品ですが、今日はオーボエとチェンバロだけで演奏することに挑みます。
 この管弦楽組曲、原曲を見てみますと、さすが大バッハ! 楽曲分析のお話になりますが、メイン楽器のオーボエの下で作品の礎となる「通奏低音」の旋律から導き出される和声を一分の無駄もなく弦楽器群に割り振って書かれています。つまり極論を言えば、最もミニマルな形でこの作品を演奏するには「オーボエ+通奏低音」という形が導き出されます。序曲は2つのオーケストラが融合する箇所が一部あり、このミニマムな形では演奏出来ないので今日は演奏しませんが、クーラント以降の舞曲をBIP!編でお聴き下さい。BIP!編では「オーボエ+通奏低音」だけに留まらず、オーボエとチェンバロで出来る数種の形で演奏します。
 どんなサウンドになるか、当日、ご期待ください(^^)


では、皆様、日曜日 7/19にお会いしましょう!!
心より御来場をお待ち申し上げております。


BIP!の音が届きました。録れたてです。

ヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」 (mp3 2.4MB)
[オーボエ&チェンバロ(バフストップ使用)ヴァージョン]
試聴、無料です。

= ごさくひんめ =

4号に引き続き、5号及び続く6号もJ.S.バッハの作品についてです。
今回語らせて頂きますのは、「フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813」について。
これはチェンバロの独奏曲です・・・という訳で、担当はチェンバロの中田聖子です(^^)

J.S.バッハの組曲について数えたことはありませんが ^_^; チェンバロの独奏組曲だけでも多数あります。その中でも有名なのは「パルティータ (全6曲)」「イギリス組曲(全6曲)」、そして、この「フランス組曲(全6曲)」だと思います。
少し余談になりますが、パルティータは訳せば「組曲」のこと、他は同じく組曲の意をもつ「Suite」と題されているものが多いです。「イギリス組曲」も「フランス組曲」も後の人が呼び出した通称で、イギリス組曲の方はその由来がわかっていますが、フランス組曲の方は定かではありません。
バロック時代に書かれた「組曲」は幾つかの舞曲を組み合わせて構成されていますが、バッハの組曲は"アルマンド", "クーラント", "サラバンド", "ジーグ"の4つの舞曲の組み合わせが基本となっていると考えられています。これを基本に、"アルマンド"の前に前奏曲としての曲が置かれたり、"サラバンド"と"ジーグ"の間に他の舞曲が挿入されて構成されています。「フランス組曲」には、どれも前奏が置かれていませんが、これはこの組曲集の一つの特徴だと言えるでしょう。第2番は、"エア"と"メヌエット"が挿入され(アルトニコル伝承稿版)全部で6つの舞曲で構成されています。

J.S.バッハのどの組曲がお好みかどうかは人によって色々だと思いますが、「フランス組曲」におさめられた組曲は、どれも J.S.バッハにしては可愛らしい作りで親しみやすい作品だと思います。
なかなか言葉では説明出来にくいことで、又、あらゆるチェンバロ作品を御紹介しないと示しにくいのですが、17世紀のフランス風の趣向による奏法スタイルに近く、チェンバロ特有の撥弦楽器の味わい深さと音色を重視した組曲でもあると思います。


4号は、バッハのソナタ BWV.1020について、オーボエの小林さんが語ります。

= よんさくひんめ =

Johann Sebastian Bach(ヨハン・セバスティアン・バッハと読みます (1685 - 1750))
ちなみにBachは、ドイツ語で「小川」という意味だそうです。
"音楽の父"と称されるバッハの作品・・・と信じられてきた『ソナタ BWV1020』ですが、近年、偽作である可能性が強いようです。証拠がないし、息子が作った、弟子が作った、とかいろいろいわれています。

・・・小川はん、真相はどうなん? ? ?・・・

こんな謎めいたソナタBWV1020ですが、曲の内容は「激熱」です!濃いです!

第1楽章:長いチェンバロのイントロに導かれてスタートする旋律は、情熱的で聴く人を惹き付けていきます。
第2楽章:平和の変ホ長調。というくらいゆるやかに時間が過ぎていく。一つ一つの音に込められる気持ちを感じていただければ嬉しです。
第3楽章:やっぱ熱く!細かい音の動きがスピード感を生み、曲がどんどん前進していくのが印象的です。音の連打も曲を躍動させています。


= BIP! プログラムについて語る : さんさくひんめ =

7月号のBIP! News Letterは、2-3日ごとに更新します...
と言っておきながら、「にさくひんめ」から1週間が経過してしまいました。
ゴメンナサイ。

今日は「さんさくひんめ」について、小林千晃さんと私 中田聖子とで語ります。
・・・まだ3作品目か... プログラムは6作品で組んでいるので、
更新頑張らなきゃ・・・


ジャン・フィリップ・ラモー : Jean-Philippe Rameau (1683-1764)
『コンセール 第2番』から「アガサント」と「メヌエット」を、
『コンセール 第5番』から「キュピ」と「マレ」を演奏します。

ラモーも、先に語っているボワモルティエ、そしてフォルクレ"息子"同様に、
J.S.バッハと同じ時代をフランスで生きた作曲家です。理論家でもありました。
歴史に詳しい方なら、「ブフォン論争」の渦中の人でしたからラモーの名を
御存知かもしれません。これ、伝統的フランス・オペラ支持者と 伊のオペラ・
ブッファ支持者に分かれて争った論争ですが、ラモーは前者側で劇場音楽の分野
で活躍した人だと言って良いと思います。
「コンセール」は劇場音楽の作曲家として活動を始めてから作曲されたもので、
原曲は「フラウト・トラベルソ(バロック・フルート)かヴァイオリン」
「ヴィオールかヴァイオリン」「チェンバロ」の3つの楽器の為の合奏曲です。
それを今回はBIP!編で「オーボエ」と「チェンバロ」の2つの楽器で演奏します。

昔、私たちがまだ卒業したての頃、ラモーのコンセールは「木管とチェンバロ」
で演奏する機会がありました。BIP!のプロジェクトを始めてから、また演奏したい
ねー、と言っていたのですが、二人だけで演奏するには壁があり、色々と工夫が
必要ですので、今迄見送ってきました。

原曲を御存知の方は、原曲とは全く異なるサウンドを楽しんで頂けましたら、
私たちは幸いです。

第2番から演奏する「アガサント」は、当時のフランス語には「挑発・
誘惑すること」という意味をもった言葉らしく、そのキャラクターを描いている
ようです。でもワクワクするような旋律なので、日本語訳で「挑発・誘惑」と
言って想像することと、フランスで(あるいは当時のフランスで)それを意味する
事象とは異なるのかしら... と思いながら、この曲と向き合っています。

同じく第2番からの「メヌエット」は、3拍子の舞曲ですが「舞踏の為の
舞曲」というよりはBIP!編では「鑑賞用舞曲」として演奏します。実際のところ、
合奏曲として書かれたものなので、舞踏を伴うものというよりは、鑑賞用の作品
ですが、後に劇音楽の中でも使用された部分がある曲ですので、Danceから離れ
ないようにしつつ演奏したいと思っています。

さて、第5コンセールからの二曲については、小林さんにコメントを
お願いします(^^) どうぞ♪ (小林さんファンの皆さん、お待たせしました!)


「第5コンセールの『ラ・キュピ』 (キューピーじゃないョ)は、
物悲しい雰囲気がムンムン立ちこめている曲ですが、美しいハーモニーが、
希望の光を一筋、私たちに差し込んでるように思えます。

「ラ・マレ」は、打って変わって楽しく明るい曲です。リズムも
軽やかで、じっと座って聴くのがもったいなく、踊りたくなってきます。
タンバリンが欲しくなるのはワタシだけでしょうか?!

『舞曲』なコンセール、多少のルールはあるものの『踊ろうぜ!』って
ダンサブルにノリノリに吹いていこうと思います! Oh! Yeah!!」

小林さん、ありがとう♪

Oh! Yrah! Dance, Dance... ダンスと言えば、「ラ・キュピ」は、
マリー・アン・ド・キュピ・ド・カマルゴ(1710-1770)というダンサーの
息子の為に書かれたものという説があるのですが、このダンサーについて
調べてみて、あら♪ と思いました。
この絵画好きです→ Britanika, "Le Camargo Dancing" by Nicolas Lancret

大阪ではここ数日毎晩 雨が降っています。BIP!の日 7/19は晴れるといいのになぁと思う今日この頃です。
さて、前回は小林さんがボワモルティエの組曲について語ってくれましたが、2号はチェンバロのソロ曲について語ります。小林さんは親しみやすくお話してくれましたが、私 中田聖子は「親しみやすい」というのが苦手なので、なるべくオカタイ文章にならないように努めますが、どうかお許しくださいませ... m(__)m


= BIP!プログラムについて語る : にさくひんめ =

「フォルクレのクラヴサン組曲よりby 中田 聖子 [チェンバロ]

ジャン・バティスト=アントワーヌ・フォルクレ
 :「ラ・マレッラ」「ラ・フォルクレ」「ラ・ルクレール」
Jean-Baptiste-Antoine Forqueray(1699-1782)
 : "La Marella" "La Forqueray" "La Leclair"

・選曲意図
 BIP!公演のプログラムは、いつも まずアンサンブル曲を決めます。そこにチェンバロ・ソロをプログラム・コンセプトに沿いながら選曲していく訳ですが、アンサンブル曲がバッハとフランスの作曲家から演奏することが決まっていましたので、フランス作品を少しとバッハの作品から1曲入れることにしました。
 フランスのクラヴサン(仏語でチェンバロのこと)の為の作品は非常に多く残っています。又、フランス作品には非常に響きが豊かで優雅な作品が多いです。小林さんと一緒に演奏するボワモルティエも例外ではありません。「響きが豊かで優雅」(時には「退屈」さえも楽しんでしまうような文化があったらしい...)というのが、フランスの作品のイメージとして知られていると思います。しかし、ただただ優雅である作品だけでなく、様々なタイプの作品が残っています。豊潤な響きとヴェルサイユの優雅さを持ちながら「ちょっと違った顔」を持っているのが、フォルクレの作品だと思います。そこで、今回はフォルクレの作品を少し御紹介させて頂こうと、選曲致しました。


・フォルクレと今回演奏する曲について
 フォルクレも、ドイツのバッハ一族と同様に、バロック時代に活躍したフランスの音楽家一族でした。今回は3つの「組曲」から抜粋して演奏します。これらがおさめられた『クラヴサン曲集 Piecé de clavecin』は、ジャン・バティスト=アントワーヌ・フォルクレのものですが、これは彼の父アントワーヌ(1672-1745)の『通奏低音付きヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)曲集』をクラヴサン用に編曲したものです。
・・・父と息子は同じ名を持つので、口頭で説明するといつも紛らわしくて、(?_?) という顔を皆さんにされてしまいます...。
 さて、フォルクレ"息子"のクラヴサン作品はどれも低音域を多用している曲ばかりです。それゆえに彼らの作品の特徴である斬新な和音の響きがより新鮮に聴こえるのだと思いますが、彼の時代、つまりJ.S.バッハと同時期ですが、その頃のフランスで使用されたチェンバロは中音域の豊かな音色が特徴でした。その為、原曲のヴィオールの音域が低音域であることだけでなく、編曲にあたって敢えて移調せずに低音域のままで書かれたようです。
 ヴェルサイユのクラヴサン作品には音楽によって人物を描写するものが多数残っています。今回演奏する3つの曲も人物描写の作品です。
「ラ・マレッラ La Marella」は、ヴァイオリニストにマレッラという方がおり、その人のことを描いていると言われています。
「ラ・フォルクレ La Forqueray」は、おそらく彼自身のこと。
「ラ・ルクレール La Leclair」は、当時の有名なフランスのヴァイオリニストであり作曲家であったジャン・マリー・ルクレールを描いています。
[by ナカタセイコ]
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7月に突入しました! 今月はBIP!の月!!
7月の連休は、なか日に是非BIP!へ!!
遠方の方も是非BIP!ツアーを組んでみてください!!

... はい、勿論、こちらは旅行会社の宣伝ブログではございません。BIP!のブログです。
第3回公演が目前となり、今日もBIP!はリハーサルを頑張っておりました。

さて、「BIP! News Letter 7月号」はスペシャル号として今度のコンサートで演奏する曲について語らせて頂きたく思っております。分担して数回に分けて語りますので、どうぞお付き合いくださいませ。
2-3日に一回の更新ペースで1作品ずつ語っていく予定です。
今月は頻繁にチェックしてくださいね(^^)


= BIP! プログラムについて語る : いちさくひんめ =

J.B.de ボワモルティエ : 組曲 第2番 ト長調 op.35-2」by 小林千晃 [オーボエ]

・ボワモルティエについて
 (Joseph Bodin de Boismortier [1689-1755]
  ジョセフ・ボダン・ド・ボワモルティエと読みます)

 フランスで活躍したボワモルティエは、バッハと同じ時代を生きた大人気の作曲家でした。普通、作曲家といえば「貴族の御用達」と思ってしまいますが、彼はフリーランスでつまり、自分の作曲力で生活できた人でした。すごいね。だから、ものすごいたくさんの曲を作ってるのです。100以上はあるそうです。

こんなにたくさん、曲を作ってるのにあまり知られていないってのが不思議です。フルートを吹かれる方なら「5本のフルートのための協奏曲」でお馴染みかもしれませんね。

で、今回演奏する「組曲 第2番 ト長調 Op.35-2」。
元々の編成は、フラウト・トラヴェルソ(バロック・フルート)と通奏低音です。これをオーボエとチェンバロによる通奏低音で演奏します。
この曲は、プレリュード→ブーレ→ミュゼット[ロンドー]→ジーグ→リゴードン の順にできています。

プレリュードは、直訳すると「前奏曲」。語りかけるような旋律が素直で優しいです。シンプル!無垢!白無垢!(え?)
ブーレは、速いテンポの2拍子の舞曲。ステップを踏みたくなるようなポップな1曲です。明るい!
ミュゼット [ロンドー] は、2拍子リズムのなかで、ゆっくり時間が過ぎて行くって感じの曲です。ザ・ナチュラル!みたいな。
ジーグは、16C頃ヨーロッパで流行した軽快な舞曲。とっても陽気で軽快な雰囲気します。
リゴードンは、軽いテンポ感が印象深いです。最後まで爽やかな風を感じながら聴いていただければ嬉しいです。
[by コバヤシチアキ]