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2001.02.09

楽器はCanvas、大事なものも楽器の中

世の中には、様々な博物館がある。

K教授にロンドンの Victoria and Albert Museum[ヴィクトリア アンド アルバート博物館] の鍵盤楽器のカタログ(...?...とかく小冊子である...)を見せて頂く機会があった。 確か、この博物館は最古のチェンバロがあることでも名が知れていたハズである。 その名に値するかの様に、そこには、様々な鍵盤楽器の写真と解説が掲載されていた。 昔は、楽器は美術品でもあったらしい...。 美術品の価値によって、古い鍵盤楽器は残存しているケースが多いのだそうだ。 事実、そのカタログには、楽器の側面・外側だけでなく、 内部に見事な装飾を施した楽器がゴロゴロ掲載されている。  (↑楽器の内部とは、ピアノで例えると蓋を開けた内側...そういう箇所を想像して下さい) 16世紀のヴェネチアの宮廷の天井画が蓋の裏に描かれたものがあれば、 側面・内側共に漆塗りで中国風の絵が描かれたものもある。 装飾は、どうやらヨーロッパの文化のものだけに留まらなかった様である。 どんな装飾にしろ、チェンバロの内部に描かれた絵画に美術品としての価値が あることに疑いはなく、まるで楽器がキャンバスの様だったのである。 又、製作時の状態(オリジナルの状態)で残存するものは少なく、 16・17世紀に作られたが18世紀になって手が加えられてしまったものや 果ては、音域が狭められてしまった跡が認められるものがある。 楽器が改良される為の課程によるものであろうか....それなら、良い(?)のだが。

現在のピアノも、上部、つまり「鍵盤と弦が収められている『箱』」の部分 と脚が分離出来るのだが、上部と脚の製作年代が異なるものまで存在する様である。

かつては、鍵盤楽器の脚の部分は楽器屋ではなく、 家具屋さんが作っていたと聞いたことがある。
「 ピアノの『箱』の下には隙間が多いから、通帳やヘソクリを隠すのに丁度良い 」
と言ったピアニストがいるけれど、家具屋さんが脚部を作っていた証拠か、 引き出し付きのチェンバロなんてものも存在......。

その様な、様々な装飾・趣向が凝らされたものは古いものに多く、 現代のピアノの装飾なんて、せいぜい猫足スタイルだとか、 譜面台が透かしぼりになっている程度しか見当たらない...と思っていたら、 何と、ピアノでも全側面・内部に絵画が施されたものも存在したらしく、 博物館の冊子にしっかり掲載されている。

楽器博物館に行くと、絵画的価値も見ることが出来る... と思います。

Posted by Klavi:Seiko NAKATA at 5:33
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