世阿弥の「風姿花伝」を相方さんに借りて読み始めました。
まず1ページ目を開けてみると... 久方ぶりに古文体を見ました ^_^; TVではよく見ますけれども、紙に印刷されている状態のものを目にするのは本当に高校生以来かもしれません。懐かしいなぁと思いつつ、それほど難しい文ではないものの、最初はえーとえーと... と十数年前を思い出しながら読み進めていく。ページをめくる頃には、あの感覚を思い出しているのだから、先日の話ではないけれども若い頃の記憶というのは恐ろしい。
まだ少ししか読んでいませんが、良いことが書いてあるなぁ...と思う。これを読んでも楽器演奏が上手くはならないと思いますが、奏者を生業とす者、必読の書かもしれない...。

5月も末に入り、6月の池田でのコンサートの準備も詰めに入っています。先日より白木氏との合わせ(練習)も日を詰めて行っています。
今回のコンサートでは、アンサンブルもソロも殆どが(プログラム曲6曲中の4曲が)昔からよくやっている曲なのだけれども、「昔からよくやっている曲程難しい」ということを感じます。
勿論、読みが長年やっていると深くなり、最初は見えない様々な難しさが襲ってくる
のは事実です。しかし、それとはまた別の難しさがあって、自分の演奏スタイルや表現方法はいつまでも昔のままではないので、若い頃に体に叩き込まれた曲程、難しさが生じるという奇妙な現象が起こります。
若い頃に習得したものは体に染み付いているから、いつでもすぐに記憶が蘇るよ、というのはよく聞く話ですが、記憶がマイナスになることもあります ^_^;
しかし、そういう難しさに直面することは、自分がどう昔と変わったのかを把握するチャンスにもなるので、それはそれで意義あることだなぁと感じる日々を過ごしています。

(ちょっと真面目な話をしてみました)

久々にコンサートに出掛けました。神戸松蔭のチャペルにて行われた前田りり子さんのトラヴェルソのリサイタル。ガンバが平尾雅子さん、チェンバロがロベール・コーネン先生というメンバー。
トンフルエンザの影響下、キャンパス入り口で手指の消毒をするように言われ、又、マスク着用を義務付け(?)られました。マスクに関しては...私達も6月のコンサートにおいて、終息の気配がなければマスク配布を...という話もしているのですが、客席にいる分には着用を義務付けられようが一向に構わない気もしたのだけれども、やっぱり冷静に見ると異様な光景だというのが正直なところでしょうか。しかし万一があっては... とも思います。折角コンサートをenjoyしても、感染者が出てしまってはコンサートの思い出が台無しになってしまいますものね...。
さてさて、コンサートに関しての感想としては、美しい響きの空間で過ごす時間といったもの。詳説は省略致しますが、Robertさんの音が耳に入ってくるとともに、ベルギーで教わったことが全て蘇って来ました。私が教わったことは、技術云々というものではなく、音楽を演奏する者として、又、人間としての必要な要素(どうヒトとして生きるか)ですが、やっぱり普段の生活の中で(せちがらい世の中ですので)忘れて(いるフリをしている)こともあるなーと気付きました。音楽・音色には結局のところ、人間の本質が出ますので、音楽を奏でるに相応しい人としての生き方をしていきたいと思います。見せかけの美しさは要らない。

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Virginal Live in 中崎町 おっとう、無事に終わりました。ランチタイム・コンサートもディナータイム・コンサートも満員御礼でした。
今回は楽器を自宅の楽器部屋から持ち出してのLive... 日頃出歩いていない楽器ですので、環境下が変わるとどうなるのか、断線は起きないか... 等、色々と心配でした。
当日のスケジュールは、会場に運び込んで、暫く楽器をそのまま空間(環境)に慣れさせて、ちょこちょこっと調律。そしてKeyの様子などをちょっと見て、ダンパーの調節だけちょっとして、気合い入れての本番前調律。GPはなし(いつも弾いている楽器なので、楽器を起こす作業も要りませんし、今回はお店でのライヴなので音響判断による位置決めのしようもないので、GPは省略しました)というスケジュール。
気がかりなことは終始、環境変化による楽器の動き・調律の乱れでしたが、お昼の部のお客様が入ってこられた時点で"本番前調律"と殆ど環境(温度・湿度)数値は変化なしでホッとしつつ、演奏に専念致しました。
お昼の部終了後は、少し休憩させて頂いて、エネルギー補給をし、夜の部の為の本番前調律... さぁ本番前調律をしよう!と思ったら、結構早くからお客様がお越しになられていて、公開調律になりました(笑) 公開調律を見てくださったお客様には、本番直前に調律が必要な楽器だということを実演で伝えることが出来たようです ^_^; (そんな御感想を伺いました)。
ところで、お昼に45%くらいだった湿度は、夕方から降り出した雨で夜には60%を上回るという変化を遂げていました。そこがまた心配でしたが、久保田さんのヴァージナルくんはしっかりと持ちこたえてくれました(内心、凄い! さすが!!と久保田さんの楽器に感動しつつ夜は演奏しておりました)
ヴァージナルの演奏を生で聴いて頂いたのは初めて乍らも よくチェンバロを聴いておられる方々の話によると、昼と夜で楽器の音色が異なっていたそうです。環境変化のせいでしょうか... 二公演してみて初めて解ることだし、面白い結果が得られたなぁと感じています。ちなみに総じて夜の音色の方に軍配が上がっていました。
さて、今回のアンケートには「はい・いいえ」でお答え頂く項目もお願い致しました。ヴァージナルを御存知だったかや、チェンバロのコンサートに行かれたことがあるか等についてお聞きしました。少々驚いたのは意外にチェンバロのコンサートに出掛けられたことのある方が多かったということ。又、曲の人気投票(?)では、18世紀作品、とくにバッハが人気だと予測していましたが、見事に分散していました。バロックやルネサンスの音楽・古楽器をとてもよく御存知の方から、初めて今回演奏した類いの音楽に触れられた方までお越しくださっていましたが、必ずしも18世紀作品が聴きやすい...訳ではなく、これは発信する側の勝手な思い込みなのかもしれないと感じました。
ヴァージナル研究にも私は大変興味をもっているのですが、また御紹介出来る機会があるといいなぁと思っております。

文化は音楽や芸術だけでなく、食も文化。特に大阪は食い倒れの町。又、バロック以前の音楽は、必ずしも現在のコンサートホールで聴く姿勢のように「聴くぞーと構えて聴く音楽」ではなかった。お料理がいっぱい並ぶ宴席でバロック期の宮廷音楽が演奏されることも非常に多かった。様々な意味でおっとうさんのお料理とのイベントが出来て良かったと思っています。

お越しくださった皆様、ありがとうございました。今後共どうぞよろしくお願い致します。


(☆ 当記事、暫くトップに置きます。)

Vermeer1.JPG17世紀オランダの画家 フェルメールが描いた楽器 ヴァージナル音楽と"鉄板焼き おっとう"の美味しいお料理のコラボレーション・イベントを5月16日に行います。
昨年、久保田氏の工房でフレミッシュ・ヴァージナルと出会い、以来、チェンバロとはまた違った特性を持つこの楽器とその音楽に向き合ってきました。厳密に言えば所謂小型チェンバロとして呼ばれるスピネットとしてのヴァージナルとは特性が異なり、非常に魅力的な楽器であると感じております。しかし、なかなかヴァージナルを演奏される機会は少なく、この楽器の紹介もしていく機会が必要ではないか... そう思っていたところ、おっとう さんでのライヴとして演奏させて頂けることとなりました。
所謂"小型チェンバロ"としての域を超越したルッカス・ミュゼラー型のフレミッシュ・ヴァージナルでのルネサンスからバロック期の鍵盤音楽とお料理をお楽しみください。
昼・夜の二回公演ですが、曲目とお料理の内容、お値段が異なります。各公演、限定20席ですので、御予約はお早めに!! (御予約は おっとう さんへ Telにてお申し込みください 06-6371-5560) おっとうさんのお料理、非常に美味です♪(私もファンです)


「ヴァージナル・ライヴ in 中崎町 "鉄板焼き おっとう"」

日にち : 2009年5月16日(土)
会場 : 中崎町 "鉄板焼きおっとう"(大阪市北区中崎2-2-27)
   (地下鉄谷町線「中崎町」2番出口を出て、左へ。2つめの筋を左に入ってすぐ。
   梅田からも徒歩7分くらいです。参考地図)

使用楽器 : 久保田彰氏製作 フレミッシュ・ヴァージナル(ルッカス・ミュゼラー型)

各公演 限定20席(要予約・鉄板焼きおっとう Tel 06-6371-5560)

=ランチ・タイム・コンサート=

 開演 : 12:30 (開場12:00)
 料金 : 2,000円
 プログラム
  音楽
   ・J.S.バッハ : フーガ ニ長調 BWV.850
   ・H.パーセル : ラウンド0
   ・W.バード : ファンタジア
   ・P.フィリップ : アマリッリ
   ・J.P.スウェーリンク : トッカータ
   ・J.S.バッハ : フーガ ト短調 BWV.1000
  お食事
   ・ お好み焼き(の予定)

=ディナー・タイム・コンサート=

 開演 : 18:30 (開場18:00くらい)
 料金 : 4,000円
 プログラム
  音楽
   ・J.S.バッハ : プレリュードとフーガ ハ長調 BWV.846
   ・H.パーセル : 組曲 ハ長調
   ・H.パーセル : ラウンド0
   ・W.バード : ファンタジア
   ・作者不詳 : バラフォストゥの夢
   ・P.フィリップ : アマリッリ
   ・作者不詳 : グリーン・スリーヴス
   ・J.P.スウェーリンク : トッカータ
   ・J.S.バッハ : フーガ ト短調 BWV.1000
  お食事
   ・ スペシャル・ハンバーグ・ディナー (ドリンク別) の予定

☆ 御予約は"鉄板焼きおっとう"さんへ直接御連絡ください Tel 06-6371-5560
  (音楽プログラムについてのお問い合わせは Klaviまで)

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<それ以降の今後の公演予定 >

・6月6日(土) 開演 14:00、池田アゼリアホール 3Fイベントスペース
 「ドイツ三大巨匠のオーボエとチェンバロ」入場料 2,500円
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・7月19日(日) ドルチェ・アーティスト・サロン大阪 (大阪・茶屋町)
 「Barocco Impression Plus!」
 昼夜2回公演 : 昼公演 開演15:00、夜公演 開演18:00、入場料 3,000円
 BIP! Web Page bip2009719_600px.jpg

Links

中崎町の 鉄板焼き おっとう さんのweblogが出来たみたいです。
http://weblog.ottou.jp/blog/
Virginal Liveも明後日... いや、もう明日になりました。

♪ ♪ ♪

mp3 Listeningページに音を追加しようと思ったら、ファイルがはじかれました。おかしい... と思ってHelpページを見ましたら、いつの間にか upload出来る1Fileの上限が1MBになっていました(@_@) 上限1MBでは恐らく私が今後も含めて最小データとなるであろうGreen Sleevesでさえのせられない... という訳で、さっさとニフに見切りをつけて、MTでklavi.comの中にスペースを作りました → http://www.klavi.com/klavi_mp3/

今週末のヴァージナル・ライヴのプログラムが出来上がりました。
プログラム...「紙で出来ている配布するもの」の方です。プログラムという言葉を使う時、ややこしいのが、「当日の演奏曲目」のことなのか「演奏曲目を記載した配布する紙」なのか、どちらかということ。前者を一般的には「プログラム」とは言わない方が良いのかなぁと思ったり... 毎回「プログラム」という言葉を使用する度に考えてしまいます。
話が反れました m(__)m
今回は曲目解説は「一言解説」にしました。席数が各公演20席限定という訳で、部数も少ないので、初めてカラーの絵入りにしました(^^) 当日いらしてくださる方は、いつもとちょっと違ったプログラムをどうぞお楽しみに♪

ライヴと言えば、いつもとちょっと違うお話になりますが、私はE.ギターリストのSUGIZO氏のファンだったのですが(正しくは過去形ではありませんが)先日BSフジで 昨年行われたというライヴ映像が放送されていたので観ていました。パフォーマンスが10年前と良い意味で変わっておらず懐かしい気持ちになりました。相変わらずよく聴くと&よく見ると非常にマニアックな音楽。弱音器を付けたトランペットの用い方だとか、パーカッションとしてのシロホンの用い方が非常に興味深かったです。生音のみでは、複数の楽器の合わさったサウンドとして、物理的バランスの上では出来ない音かもしれないとは思いますが、アンプを通す上での意義が見えるような気がしました。
アーティスト各々の考え方があると思いますが、「文明の利器(レコーディング技術の発達)を利用した作品作り」と「ライヴ(生演奏)」について明確な意識差を認識していないのは、実はクラシックの世界なのかな...などと感じたりも致しました。
チェンバロやヴァージナルの演奏において、物理的には説明の出来ないライヴ・コントロールが可能だと考えていますが、もしかしたら私が今そんな風に思うのは若い頃に、様々な種のライヴ感を体感してきたからなのかもしれません。
他にも色々と感じた事や思ったことがありましたが、それはまたいずれここでお話出来たらいいなぁと思っています(まだ話せる程に自分の中で消化出来てないので ^_^; )

rose.JPG

そろそろ薔薇の美しい季節ですね!