チェンバリスト中田聖子のオフィシャルブログ

読書

世阿弥の「風姿花伝」を相方さんに借りて読み始めました。
まず1ページ目を開けてみると... 久方ぶりに古文体を見ました ^_^; TVではよく見ますけれども、紙に印刷されている状態のものを目にするのは本当に高校生以来かもしれません。懐かしいなぁと思いつつ、それほど難しい文ではないものの、最初はえーとえーと... と十数年前を思い出しながら読み進めていく。ページをめくる頃には、あの感覚を思い出しているのだから、先日の話ではないけれども若い頃の記憶というのは恐ろしい。
まだ少ししか読んでいませんが、良いことが書いてあるなぁ...と思う。これを読んでも楽器演奏が上手くはならないと思いますが、奏者を生業とす者、必読の書かもしれない...。

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コメント(2)

表現なすもの必読の書といえましょう。「人の行為と」「心理」を論じた前代未聞の「演劇(演奏)添論」と得ましょう。「誰の演奏はどうだった」、そして「それを反省にして」云々と云うのは判りやすく実用的でなものは多くあります。しかし世阿弥は「初心忘るべからず」といいます。若い時に失敗や苦労した結果身につけた芸は、常に忘れてはならない。それは、後々の成功の糧になる。若い頃の初心を忘れては、能を上達していく過程を自然に身に付けることが出来ず、先々上達することはとうてい無理というものだ。だから、生涯、初心を忘れてはならない。
これが世阿弥の言。

「時々の初心忘るべからず」
歳とともに、その時々に積み重ねていくものを、「時々の初心」という。若い頃から、最盛期を経て、老年に至るまで、その時々にあった演じ方をすることが大切だ。その時々の演技をその場限りで忘れてしまっては、次に演ずる時に、身についたものは何も残らない。過去に演じた一つひとつの風体を、全部身につけておけば、年月を経れば、全てに味がでるものだ。

「老後の初心忘るべからず
若い時に失敗や苦労した結果身につけた芸は、常に忘れてはならない。それは、後々の成功の糧になる。若い頃の初心を忘れては、能を上達していく過程を自然に身に付けることが出来ず、先々上達することはとうてい無理というものだ。だから、生涯、初心を忘れてはならない。

「時々の初心忘るべからず」
歳とともに、その時々に積み重ねていくものを、「時々の初心」という。若い頃から、最盛期を経て、老年に至るまで、その時々にあった演じ方をすることが大切だ。その時々の演技をその場限りで忘れてしまっては、次に演ずる時に、身についたものは何も残らない。過去に演じた一つひとつの風体を、全部身につけておけば、年月を経れば、全てに味がでるものだ。

「老後の初心忘るべからず
老齢期には老齢期にあった芸風を身につけることが「老後の初心」である。老後になっても、初めて遭遇し、対応しなければならない試練がある。歳をとったからといって、「もういい」ということではなく、其の都度、初めて習うことを乗り越えなければならない。これを、「老後の初心」という。

 私は世阿弥は伝統を踏まえた上でその上を目指していると思います。前衛なのかと云えば決してそうでもない。しかし明らかに目は遥か遠い時代を見据えている。
 「源氏物語(これは難しい)」「平家物語」世読むと日本人に生まれて来た喜びを感じます。「平家物語」でやろうと思えばショパンのバラードなどでっち上げられます。

 しかしそれではなく日本人が西欧音楽を理解する際その礎として日本の古典が大きな布石になっている。これは我々が思っている以上に 大きな事あると思います。かつて三島由紀夫は日本にバタイユを定着させようとしました。しかしこれは一知識人の考えに過ぎませんでした。常識で考えて(キリスト教)のある国での「徳背」行為と
「紙なき国」の「徳背」行為。これはまったく違ったものであります。三島の元となる「ヨーロッパの思想を日本にもってくれば」という発想が  間違っていたといわざるを得ない。

 これは冒頭の演奏家のとは基準が違うと思う。「表現したい」そしてヨーロッパ音楽を調べる、そして「日本人との違い、齟齬を確認する」それは最も大きな問題であろう。日本人にとってのバッハ、ショパン、マーラー…。
 聴こえている現象は一緒でも思想は大きく違う。この事は古楽器者ならずとも普通のモダン楽器を弾いている人間も意識すべきであろう。

 無反省の演奏の果てに待っているのは暗い闇である…。

結局は向上心を持っているかどうか...ですね。それが真の意味での向上心かどうかが要になるように思います。「つもり」の場合も多くあると思います。
藝の道に限らず、どんな道でも専門を極めようと思う人にとって必読の書であろうと思います。
芸術・社会・文化の背景にある思想は、単純に西洋音楽であるからといってキリスト教のみでは言い切れない面があるように思います。

PS. 同世代の奏者からコメントを頂けたこと、とても嬉しいです。

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